令和6年春期試験問題 午前Ⅰ 問4
問4解説へ
量子ゲート方式の量子コンピュータの説明として,適切なものはどれか。
- 演算は2進数で行われ,結果も2進数で出力される。
- 特定のアルゴリズムによる演算だけができ,加算演算はできない。
- 複数の状態を同時に表現する量子ビットと,その重ね合わせを利用する。
- 量子状態を変化させながら観測するので,100℃以上の高温で動作する。
正解 ウ問題へ
分野 :テクノロジ系
中分類:コンピュータ構成要素
小分類:プロセッサ
中分類:コンピュータ構成要素
小分類:プロセッサ
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解説
量子コンピュータは量子力学の性質を利用して高速演算を行うコンピュータです。量子コンピュータの実装方式は、量子ゲート方式と量子アニーリング方式に大別されます。両者は量子ビットに行う操作の違いを表します。
- 量子ゲート方式
- 古典的コンピュータと同じく、論理回路(量子ゲート)とそれを組み合わせた計算回路(量子回路)により構成され、量子ビット(qubit)をそれらの回路に入力することで演算を行うことができる量子コンピュータ。量子状態(波状態)を操作するため位相と確率振幅を変化させるゲートを使う
- 量子アニーリング方式
- 焼きなまし法というアルゴリズムを使い、経路探索などの組合せ最適化問題を解くことに特化した量子コンピュータ。イジングモデルと呼ばれるモデルに問題をマッピングし、そのイジングモデルの基底状態(エネルギーが最も低くなる状態)を求める問題に変換することで高速に解を求める。アニーリングは"焼きなまし"という意味
- 量子コンピュータにおける演算は、初期化、量子的な操作、測定の順序で行います。演算は0と1が確率的に重ね合わさった状態のまま行い、結果も量子の重ね合わせ状態として確率的に出力されます。
- 量子アニーリング方式の説明です。量子ゲート方式は古典的なコンピュータと同じく汎用的な計算に使うことができます。
- 正しい。量子ゲート方式は、"0"と"1"の両方が確率的に共存する量子ビットを用意し、それを量子ゲートに通すことで計算を行う方式です。量子ビットを量子ゲートに通して波の干渉を起こし、位相と確率振幅を変化させることで正しい答えを測定できるようにします。
- 高温を動作条件とする量子ゲート方式は存在しません。逆に量子コンピュータのうち、超電導方式、イオントラップ方式、冷却電子方式など絶対零度に近い極低温が必要とされるものはあります。
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