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情報処理安全確保支援士令和6年秋期 午前Ⅱ 問9
問9
量子暗号の特徴として,適切なものはどれか。
- 暗号化と復号の処理を,量子コンピュータを用いて行うことができるので,従来のコンピュータでの処理に比べて大量のデータの秘匿を短時間で実現できる。
- 共通鍵暗号方式であり,従来の情報の取扱量の最小単位であるビットの代わりに量子ビットを用いることによって,高速なデータ送受信が実現できる。
- 量子雑音を用いて共通鍵を生成し,公開鍵暗号方式で共有することによって,解読が困難な秘匿通信が実現できる。
- 量子通信路を用いて安全に共有した乱数列を使い捨ての暗号鍵として用いることによって,原理的に第三者に解読されない秘匿通信が実現できる。
- [出題歴]
- 安全確保支援士 R4春期 問6
分類
テクノロジ系 » セキュリティ » 情報セキュリティ
正解
エ
解説
量子暗号は、量子力学の性質を利用した暗号化技術で、量子鍵配送(QKD)とワンタイムパッドという2つの技術要素で構成されます。
量子鍵配送は、共通鍵暗号で必要となる鍵情報の光子に載せて送る仕組みで、盗聴の有無を量子力学的に検知することができる性質を持ちます。光子を送るので伝送媒体には光ファイバーが使用されます。一方、ワンタイムパッドは、平文と同じサイズの暗号化鍵を使用し、一度使った暗号鍵は二度と使わない仕組みです。この2つを利用することで、どんな計算技術でも将来にわたって解読が不可能であることが数学的に証明されています。
量子鍵配送は、共通鍵暗号で必要となる鍵情報の光子に載せて送る仕組みで、盗聴の有無を量子力学的に検知することができる性質を持ちます。光子を送るので伝送媒体には光ファイバーが使用されます。一方、ワンタイムパッドは、平文と同じサイズの暗号化鍵を使用し、一度使った暗号鍵は二度と使わない仕組みです。この2つを利用することで、どんな計算技術でも将来にわたって解読が不可能であることが数学的に証明されています。
- 量子暗号は、量子コンピュータ上で行われる計算処理を指しているわけではなく、共通鍵の安全な配送が主な役割です。暗号化と復号は古典コンピュータと同じ計算を行うので、従来に比べて大量のデータを処理可能とするものではありません。
- 量子暗号は共通鍵暗号方式のひとつではなく、量子鍵配送とワンタイムパッドの組合せによって、盗聴の検出や解読に対する耐性を強化する技術です。データの送受信は量子ビットでは行わず、従来どおり古典ビットで行います。また、通信の高速化を目的としていません。
- 鍵の共有に公開鍵暗号方式は使用しません。量子鍵配送では、光の特性を利用して安全に鍵を共有します。なお、量子雑音を利用した共通鍵(平文よりも短い)の生成と量子鍵配送を組み合わる方式は、量子雑音ストリーム暗号と呼ばれます。
- 正しい。量子暗号は、通信ごとに使い捨ての鍵を使用すること、その鍵を量子通信路で安全に配送するという2つの要素を組み合わせた暗号化通信です。観察されると変化する光子の性質により盗聴を検知できるため、安全な鍵だけを受信することができます。また、送信側と受信側で同じ基底盤を使用しないと正しい復号が行えないため、理論的に第三者に解読されないことが保証されます。